UTC製2SB562L-C/2SD468L-CのhFE簡易実測

2017/08/19測定 2020/05/17一部表記修正

とある自作の耳机放大器（ヘッドホンアンプ）に使うために、秋月電子通商で本日購入。

製造終了・流通在庫のみになってしまった公式採用トランジスタの価格高騰に加担しないよう、現行品の、さらに採用例があまりなさそうな型番の石をあえて試して人柱になってみる。

秋月電子通商 2SB562L-C-T9N-K UNISONIC TECHNOLOGIES CO.,LTD.
秋月電子通商 2SD468L-C-T9N-K UNISONIC TECHNOLOGIES CO.,LTD.

20V 1A 0.9W という定格は、公式採用に比べて電圧定格はふたまわり、電流定格はひとまわり、それぞれ小さいものの、ヘッドホンアンプ終段という使途には十分であろうと推測する。日立製オリジナル 2SB562/2SD468 は http://nobunozakki.blog.fc2.com/blog-entry-17.html で使われた実績があるようです。

測定結果

Ta=28℃ だが、メーターにセットするまでの間手で触れていることによる温度変化が影響しているので、細かい数値自体は無意味です。

そもそもこのテスター MASTECH M-830B の hFE 機能の測定条件自体が「およそ 2.95V の電源でコレクタ・エミッタ間を活かすとともに電源から 2.2MΩ 220kΩ を通してベースに電流を流し（VBEにもよるがおよそ 10μA になる）、低電位側（PNP の場合はコレクタ、NPN の場合はエミッタ）の電流を直読して 1.00mA を hFE=100 と表示する」というものなので、しょせん相対比較程度であって相当いいかげんな測定です。

[2020/05/17] ベース電流実測 11.5μA ＠2SC3421Y B-E のみダミー接続、24℃、したがって、表示値は若干大きめに出る。表示値に 1/1.15 倍の簡易補正をした値を追記。ただしこの 11.5μA は M-830B の電源ONからの経過時間によって少々変動するらしい。

※左から、NPN C-E 端子間に 1kΩ をダミー接続、TKPH6A の電流 μA レンジオフセット、NPN B-E 端子間に 2SC3421Y B-E をダミー接続。
なお、コレクタ電流を流した場合のベース・エミッタ間電圧はこのダミー接続状態と異なるかもしれないし、2SD468L-C や 2SB562L-C を接続した場合にどうなるかも未確認だが、まあよいことにする。

2SB562L-C hFE on MASTECH M-830B continuous

2SD468L-C hFE on MASTECH M-830B continuous

考察

hFEは十分。ロット内のばらつきも少ないようです。

2SB の No.10 のみ少々傾向が違う（たぶんこれが本来の特性）。やはり多めに買って選別するのがベターでしょう。

これは、それなりに使いものになるかもしれないと淡い期待をかけてみる。

M-830B の測定原理自体がいい加減なので参考程度。 これらの数値はコレクタ電流 2.38〜3.62mA で測定していることになる。一方、スペックシートは 2V, 500mA の値。一般論として PNP と NPN で hFE のコレクタ電流依存性が異なり、今回は 2SD が相対的に数値上不利な測定条件であることに注意（データシートの DC Current Transfer Ratio vs. Collector Current のグラフ参照）。想定実働状態（5.5V, 35mA 程度）では両者とも手頃な値になってくるだろう。

ちなみにこの hFE 数値（補正前の表示値）は、同条件で測定した 2SA1358Y/2SC3421Y（2SC の手持ち不足で採用断念）よりも大きく、手元に数個だけある 2SA1680/2SC4408 や、やはり手元に4個ずつある 2SA966Y/2SC2236Y（のhFEが大きいグループ。この石は素性は良いのだがばらつきが大きすぎて断念）ともほぼ互角。

略歴

• 2017/08/19　測定。
• 2020/05/10　考察を少し修正。
• 2020/05/17　M-830B の hFE 測定原理に関する記載ミスと、考察を修正。

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